item1
buttun1
item4b

talk 対談 庵里直見 フォーナイン 99.99tt

Guest

 鈴木香子さん

 斉藤幸子さん

 井上貴文さん

 井野久明さん

学ぶということの意味

 

 

庵里 今日はフォーナインの本をお読みいただいた社会福祉法人 川崎聖風福祉会 理事長 井野久明さんにお話をお伺います。お忙しい中、お時間をいただきましてありがとうございます。

生きているといろいろなことがあります。さまざまな問題にもぶつかる。そして、それに押しつぶされそうになることもある。どうしていいのかが分からなくなり、深く悩む人が多くいらっしゃいます。しかし、他の人から見れば、それは大した問題ではないこともある。簡単に解決できることもある。その違いは何かというと、それは考え方の違いであることも少なくないんですね。そうしたケースに出合うことが多いのです。そこで、「考え方のバリエーションを分かりやすく伝えることができれば、抱え込んだ問題を解決するきっかけとしていただけるのではないか」「気持ちを少しでも楽にするお役に立てるのではないか」と考えて、私たちフォーナインは、いくつかの本を書いています。

フォーナインの本をお読みいただいて、どんなふうにお感じになりましたか?

 

1 大事なことは仕事から学ぶ

 

生きる上で大事なことというのは「仕事から学ぶ」というのが、私の基本的な考え方です。

仕事というものは、一般的に第一義的には「生きる糧を得るため」と考えられています。簡単に言えば「お金」を得て日々の生活を成り立たせるということです。

しかし、実はそれ以上のものを私たちは仕事から得ているのです。私はよくこう言います。「働く皆さんは一日の中で一番の多くの時間を仕事に使っている。プライベートに使うよりも遥かに多くの時間を拘束されている。だから、その時間を大事にしなさい」と。

仕事の良いところは決して順調には進まないということです。組織で仕事をするかぎりは人間関係における問題は避けられないし、仕事を進めるうえでさまざまな予想外の問題が起こることもあります。それに対処していく過程で、私たちはさまざまなことを学ぶのです。仕事には目的があり、手段があります。そしてそれを効率的に進めなければならない。もちろん、対象である顧客の満足度を高めなければならない。そのためには常にあらゆることを考え、学ぶことが大事です。つまり、私たちは仕事を通じてスキル、私は思想・哲学と表現していますが、そうしたものを高めていかなければならいのです。

本を読むということは、そうしたヒントになる。フォーナインの本はそういうヒントとして非常に価値のあるものだと思いますよ。

 

庵里 ありがとうございます。おっしゃる通り、私たちは日々学んでいるはずなんですね。しかし、どうしてもうまくいかないことにぶつかってしまう。

 

井野 そうなんです。人生は順風満帆なときばかりではありません。必ず逆風に遭うことがある。そうしたときに人には三つのタイプがあります。一つは逆風に向かっていこうとする人。二つ目は立ち止まる人。そして、風に負け逃げてしまう人。風に負け逃げようとすると、倒れ、転がされてしまう。立ち止まる人はのけ反らされ、あごが上がり今にも倒れそうになる。逃げてはダメなんです。立ち止まってもダメ。正面から風に向かって歩いていかなければならないんです。それは大変です。しかし、歩き続けなければならない。そうしてなんとか前に進めば、やがて違う地平が見えてくるのです。

 

庵里 「やがて違う地平が見えてくる」。いい言葉ですね。

 

井野 苦労しながら進んでいると、周囲の人が手を差し伸べてくれるようにもなるのです。逃げてはダメ。逃げると風の力は十倍にも二十倍にもなって襲いかかってくる。あっという間に、奈落の底に落とされてしまいます。でも、それではあまりにも救いがないので、こう考えることも必要です。こんな言葉がありますよね。「明日は明日の風が吹く」。あるいはこんな歌もあります。「ケ・セラ・セラ」。そう思うことも大事。「明けない夜はない」「闇は明ける前がもっとも暗い」

 

庵里 「冬来りなば、春遠からじ」という言葉がありますが、私もそうだなと思うんです。今が寒さ厳しい冬ということは、少し我慢すれば花の咲く春が来るんだな、と。そうしたときの救いの一つになれればいいなと私たちも思って活動しています。

 

2 精神と肉体との関係

 

井野 そういう意味で本というものはとても大事です。仕事から学べる人もいるけれども、誰もがそういうものでもない。本からヒントを得る人もいる。しかし、本を読んでも何も得られない人もいる。私は本が好きで、よく書店に行きますが、何も考えずに本を眺めていても、何も目に入らない。しかし、何か課題を抱えている時、つまり問題意識をもって書店に行くと、本のほうから目に飛び込んでくる。

問題意識のない人は、あるいは問題意識のない状態では何を読んでもそこから学ぶことはできないんです。だから私は「常に考えなさい」と言うんです。

 

庵里 何かを考えるとき、私たちは言葉を使っていますね。誰かとコミュニケーションをとるときだけではなく、私たちは考えるときにも言葉を使っている。言葉を使うことによって、私たちは考えることができるんですね。そういう意味で、言葉の使い方が重要なんだと考えています。自分と対話するときに使う言葉を変えることによって、人の意識は変わっていくものなんですね。

 

井野 その通りです。外国語を覚えることにはコミュニケーションのためという意味もありますが、本来は外国語を理解することによって、その文化を理解することに繋がるんです。言葉というのは、思考なんです。そして思考が、言い換えれば精神が肉体を支えるんです。

かつては肉体が精神を支えると思っていました。体力があるから、精神を保てていると。しかし、最近になると、精神が肉体を保っているということを痛感するようになります。若いころは精神主義というのは認められないんです。科学的ではないし、スパルタ、軍国主義のように思えるんですね。しかし、こういう仕事をしていると、精神が肉体を変えていくという例は数えきれないほど目にするものです。それまで何にも興味を示さなかった女性が好きな男性ができると口紅を塗り、化粧をするようになる。寝たきりだった男性が女性を好きになると起き上がるようになるし、立って歩き始めことだってある。そんなことは珍しくないんです。私たちは奇跡をよく目にしているのです。

私は無神論者ですが、神の存在は認めています。大自然というか、宇宙の摂理というか、人知では及びもしないことがある。

このことからも分かるように、精神は肉体を支えているんです。強い精神を作るためにも本を読むことは大事ですね。

 

庵里 私も無神論者ですが、人知の及ばない力があるということは理解しています。小さい頃、「石ころにも神様はいるのよ。だから粗末にしてはいけません」と言われて、「むやみに蹴ったりしてはいけないんだ」と思ったことがあります。日本の「八百万の神」という思想は、今でいえばエコロジーではないか、と。すべての自然に畏敬の念を抱くという考え方が「八百万の神」ということではないかなと思えるんです。

 

井野 ものを大事にするということでは、私は父親からこう言われたことがあります。私は二人の兄の本棚に並ぶ難しそうな本に興味があって、よく引っ張り出していたんです。そしてその辺に散らかっていたのを跨いでいこうとした時です。「本を跨いではいけない。本には言霊というものがあるんだ」と。父は明治の人で、大した教育を受けいていませんでしたが、大変な読書家でしたねえ。

 

庵里 お話を伺っていて、井野さんの豊富な読書量、知識の広さに驚かされますが、それは御父様から受け継がれたのですね。

 

井野 本は好きでよく読みます。どんなことでもそうですが、興味・関心を持つということは大事です。人間はありとあらゆる可能性を持っていますから。

 

3 学ぶということ

 

庵里 イチロー選手はこう言っています。「野球は趣味か仕事かと聞かれれば、僕の場合はバリバリ趣味です。新しいことをどんどん追求していくのが楽しいからやっている」

 

井野 人間は一回生であるということ。前世もあの世もない。そう考えることが大事だと思います。今という時間を大事にする。だから、次々に学んでいこうとする。

 

庵里 フォーナインの本は自己啓発であったり、気づき、コーチング、メンタルマネージメント等に分類されるのですが、「学び」ということについてはどのようにお考えですか?

 

井野 これはフランスの詩人、ルイ・アラゴンの言葉ですが、「教えるとは共に希望を語ること、学ぶとは誠実を胸に刻むことである」というんですね。私のようなものには真意のほどはよく分かりませんが「教えることは学ぶこと」でもありますから、こう考えています。人間は学ぶことによって心の平穏を保つことができたり、気持ちを奮い立たせたり、何かを行うためのヒントを得たりする。学ぶとは、自らを100%活性化したい、100%自己実現していきたいという気持ちを後押ししてくれるもの。それがさまざまな本から学ぶということ。学ぶとは極めて行動的であり、積極的であり、前進的であり、そして自らの人生を肯定すること。人は常に希望とともに生きるものであり、希望とは学ぶことによって生まれてくるものである。と、こう自分なりに結論づけています。学ぶとは生きることを学ぶのであり、一生学び続けていくのだと思います。

 

庵里 匠といわれる人たちが共通しておっしゃることがあります。「一生、修業は続く。これでいいということはないだろう」という言葉と同じですね。

 

井野 物事は多面的に見ることは大事ですが、成長していくと、またそこからしか見えない問題点が出てくる。1のレベルにいると2のレベルの問題が見えてくる。2のレベルに行くと3のレベルの問題が見えてくる。先程のイチロー選手の言葉から分かるのは、彼はずっと学び続けて螺旋状にレベルアップをしている。完成ではなくて高見に行くと次の高見が見えてくる。しかし、その問題点は1のレベルの人には見えない。

私は新人研修で言うのですが、皆さんにはすべてが混とんとしている。そして仕事が始まると分からないことや問題が出ててくる。それは否定的なことでも消極的なことでもなく、皆さんのレベルが上がったということを示しているんだ。仕事に慣れ、皆さんのレベルが上がったから「これは問題じゃないか」ということが見えてくる。そして問題が見えてくれば、それは半分解決したようなものなんだ。あとは具体的に行動すればいい。そしてまたレベルが上がると別の問題が見えてくる。それは誰が悪いということではなく、否定的に捉える問題ではない。自分が成長したから見えてくる。

この本に書いてあることはまさにそういうことで、イチロー選手は螺旋階段状に常に成長を続けている。フォーナインの本を読んで凄いなあ、と感心しました。彼にとって記録を達成することが目的ではなく、高いレベルを追及し続けることが記録を連れてくるんだと私は思いますねえ。

 

庵里 見えているものの違いという例で最近感じるのが、フィギュアスケートの荒川静香さんの解説です。彼女の解説は本当に面白い。「この人には他の人に見えないものが見えているなあ」と感じるんですね。

 

井野 それは野球の解説でもありますね。面白い解説者とつまらない人がいる。それは単に優れた肉体的能力でやってきた人と、理論的に意識的にやってきた人との違いだと思います。

 

庵里 そういう意味でも学ぶということは大事なんでしょうね。

 

井野 そうですね。学ぶことは一生続けなくてはならないし、そういう姿勢を持ち続けることが大事ですね。

 

庵里 本当にそうですね。納得できることばかりで、勉強させていただきました。

 

井野 私たちの仕事は人間を相手にしておりまして、常に変化するものですから、きちんと対応するためには、常に学び続けなければならないと思っています。

 

庵里 今日は素晴らしいお話を聞かせていただきまして、ありがとうございました。

IMG60362

社会福祉法人 川崎聖風福祉会

理事長 井野久明氏

 

昭和43年に法人格を取得した後、生活保護法に基づく救護施設を中核としながら、介護保険法、障害者自立支援法に基づく各種自主事業、更には川崎市から指定管理制度及び管理運営委託として養護老人ホームやホームレス自立支援事業を受託するなど、多種多様な12事業を展開しております。

それらの事業を総合的に実施することにより地域における公共的、基幹的福祉資源としての役割と責務を果たしてまいります。

http://www.kawasakiseifu.or.jp/index.html

IMG60252
IMG60262
IMG60302a
IMG60252a1
item2b item2a1a1a1 item2a1a1b item2a1a2 item2a1b item6a1a item6a2 item2a2 item5a1 item4a1