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talk 対談 庵里直見 フォーナイン 99.99tt |
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Guest |
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鈴木信市 斉藤さんは、「イチロー選手の言葉に学ぶセルフ・コーチング」を読んでいただいて、何をお感じになりましたか? 斉藤 私の場合は、「そう思わないようにするというなら、そう思ってしまっているということです」という言葉が一番印象に残っています。幼いころの記憶が頭の中に浮かんだのです。 鈴木信市 ほう、それはどのような思い出ですか? 斉藤 幼いころに、近所にとてもきれいなお花が咲いていました。少し変わってる花で、花の周りにトゲがいっぱいある葉っぱが生えていたのです。小さいころってきれいなものとか目立つものを触りたいという気持ちが強かったのですが、ただ、そのトゲは怖い。でも、花には触りたい。だから、そのトゲに触らないようにお花に触ってみようと思いました。自分の中では「触らないように、触らないように」と慎重に触ったつもりだったのに、手が傷だらけになってたんです。もう、血も出てきて。あんなに気をつけていたのに何で触れてしまうんだろうと不思議でした。99.99のルールの部分に、川に落ちないように橋を渡るという例がありましたね。それがそのときの記憶を呼び覚ましたのです。何でああなったんだろうというのは大人になっても不思議だったのですが、その理由がやっとわかった。「あっ、あれはそういうことだったんだ」と納得できました。 私は、仕事でお客さんへ取材に行くときに、何でこんなにって思うくらい緊張するタイプなのです。そうは見えないって言われるんですけど(笑)。でも、緊張しない人もいらっしゃいますよね。その違いは何なんだろうなと思っていたのですが、「大事なお客様の前だから緊張しないようにしよう、緊張しないようにしよう」と、行く前からすごく意識してるなということに気がついたのです。「ああ、これもそういうことか」と思って。 ここに書かれているように、「大事なお客様だからこそ、いいお話が聞けるようにこちらも頑張ろう」と前向きに考える。「失敗しないようにしよう、失敗しないようにしよう」とマイナスで考えるよりプラスで考えたほうがきっと取材とかもうまくいくんだろうなと感じました。これはぜひ実践したいと思っています。 きょうもさっきまですごく緊張していました。でも鈴木香子さんの話を聞いてる間、それを意識していたんですね、「感じたことを素直に話そう」と。そうしたらちょっと気持ちが楽になって、こうしてお話ができるようになったので、これを読んだことによって、無意識なのか意識的なのかわからないですけど自分を変えようとしてるということに気がつきました。 鈴木信市 それは嬉しいお言葉ですね。ところで、そのお花の件は何歳ぐらいのことですか? 斉藤 あれは小学生ぐらいだったと思いますね。国民宿舎みたいなところにある、見たことのないちょっと変わった植物でした。真っ赤な花で、サボテンのようなトゲがたくさんついた硬い葉っぱの中に囲まれる形でポッと咲いていました。その記憶がすごく鮮明に残っていたのです。花に触れよう、触れようと手を伸ばしました。皆に「危ないよ、危ないよ」と言われながらも「大丈夫、大丈夫。気をつけてるから、気をつけてるから」って言ったのに、やっぱり手を傷つけた。で、「ほら、言ったでしょ」みたいな感じになって・・・。それは多分、そのときに、「トゲに刺さらないようにしよう、刺さらないようにしよう」という意識が自分の中で働いてたんだなと。これを読んで、何であのときにああなってしまったのかという答えがわかってすっきりしました。 鈴木信市 こういう考え方は、新鮮ですか? 斉藤 私にとっては非常に新鮮でした。これは結構何にでも通じるなって思いましたね。女性はダイエットをしてるときに、「食べないようにしよう、食べないようにしよう」って思うものなのです。冷蔵庫の中にケーキが入ってるけど、今晩は食べないようにしよう、食べないようにしようと思っているんですけれども、気になって眠れない。結局、ケーキを食べてしまうんです。それは意志の強さが関係するのかなと思っていましたが、これを読むとそれだけではないなというのがわかって、何か安心したというか(笑)。意識し過ぎるのはよくないんだなと強く思いました。 多分、この本を読むと身近な例をたくさん思いつくはずです。皆さん、いろんな形で自分に当てはまることがあるんじゃないかな。 鈴木信市 そういうときに意識の力だけにしてしまうと結構切なくなりませんか?「私ってやっぱりだめだわ」みたいになって。 斉藤 その通り。そう思っていました。ほんとに意志が弱いんだな、と。そういうのを我慢できるという人はすごいなと尊敬していました。あるいは、そういう人は違うところで努力をしてるのかもしれないとか。自分の意志の弱さだけに注目して、「ああ、自分はだめな人間だ」と考えるのはよくないんだなと理解しました。 鈴木信市 つい、自分はだめだと思ってしまうものなのですね。 斉藤 この本を読まなかったら、一生気づかずに生きていったんだろうなって。そう思うと恐ろしくなります。 鈴木信市 問題を抱えたまま生きるということですね。「知る」というのは大切ですね。 斉藤 食べているときは、「だめな私」とは思ってないんです。朝起きてから、「ああ、やっぱり食べちゃった」と反省するばかり。あれはきっと寝る前に意識をしすぎてしまうから、かえってケーキの残像が頭に残って食べてしまうということになっているんだなと気がつきました。それっていろんなことにつながるし、今後生きていく上で生かせると思います。 鈴木信市 すばらしいですね。でも、本当にそうなんですね。寝る前にケーキを食べちゃだめだというのは、自分に呪いを掛けてるようなもので、呪いとともに寝ているのも同じ(笑)。 そういう考え方の中で無意識のことが話題に上るものですが、無意識は肯定的/否定的、プラスとかマイナスという評価がありません。簡単に言うとただ、単純に意識を向けている方向に向かって動いていくということ。 だから「ケーキを食べちゃだめだ」と思っていれば、ケーキの方向に向かって自分のいろんなものが動いていくんですよ。 斉藤 それに気づけたというだけで今後の生活が変わっていくと感じています。仕事にも、プライベート、恋愛のことであったり、普段の生活態度であったり、何でも当てはまるなと思います。この本のすごいところは皆それぞれが「あれはこういうことだったの!」と頭に浮かぶことがいっぱいあるところです。私も鈴木香子さんもそうですから。 鈴木信市 そう言っていただけると、こちらもうれしいですね。 斉藤 ほんとに気づけてよかった。勧めてくださった鈴木香子さんに感謝です。もちろん書いてくださったお二人にも(笑)。 鈴木信市 世の中には出来事がいっぱいあります。でも、全部を知ってるわけではない。 やたらゴシップに詳しい人がいるかと思えば、逆に毎日会社で日経新聞ばかり読んでて、今日の日経平均にばかり詳しい人もいますよね。つまり私たちは出来事を全部頭の中で処理してるわけではなくて、ある程度、省いてる部分がある。そのときに自分がどこに意識を向けているかによって入ってくる情報が違う。同じ空間を同じように過ごしてても、生きている世界は違うんですよ。 例えば、今度のボーナスでルイヴィトンを買おうと思った瞬間にね、世の中にルイヴィトンってこんなにたくさんあったのかしらと気づく。中吊りでルイヴィトンの限定版が出ることを知ったりとか、それまでは気にしなかった情報が勝手に入ってくる。この本の中で知ってほしい一つはそのことです。「今日は絶対ルイヴィトンの情報を五個集めよう」と思っているわけではない。単純にルイヴィトンの新しいかばんを買おうと思って、感情的にわくわくしていると勝手に情報に目が行く、集まってくるということなのです。 必ずしもダイエットを頑張ることは、意志の強さばかりではないところもある、ということに気がついてもらえるといいですね。実はそういった世界は自分が選んでいるんだと。 ケーキを食べてはいけないと思ってケーキだらけの呪いの世界に生きるか・・・(笑)。 斉藤 それは思いました(笑)。 鈴木信市 スリムな体になって生きていくんだわという、素敵な生き方の世界もある。どこに自分の意識を向けるかで、気持ちも変わるし、入ってくる情報も変わる。結果として日々の暮らしは全然違うものになっていく。そうなると、どうやっても人生変わりますよね。そのことがわかっていただけると、お役に立てたんだなあという思いもあるし、そういうふうに読んでいただきたいという意識があるのでうれしいですね。 斉藤 多分、イチローさんのすごいところとは、そういうことに気づいて実践するところなんでしょうね。私は今まで気づかずに生きてきたので、それが彼をスーパー・スターにしてる所以なのかなとも思いました。 鈴木信市 イチローさんは、「自分は天才ではない」と同じような感じですが、「自分の能力を高めたいとか高まっているとは思わない。ただ、自分の能力をここまで発揮できるようになったと思ってる」というふうにおっしゃっているんですよ。この本に書いてあるのは、「自分の能力を高めてください」ではなくて「気づいてください」ということなんですね。皆さんが持っている能力に気づいていただければ変化がありますよ、と。 うまく自分の能力を発揮する方向と発揮しない方向があるとしましょう。多くの人は自分の能力をうまく発揮しない方向には大変パワフルに生きている。ダイエットでいうなら、「私ってやっぱりだめだな」と思うことは多分何回も繰り返すことができる。ダイエットを決意するたびに自分のことが嫌いだと思うような結果をきちんとつくることはできるんです(笑)。 イチローさんはそうではなくて、欲しい結果が出せるように、自分の心や気持ちをつくる方法をもっている。違いはほんと僅かなんですよね。もちろん、プロスポーツ選手はある程度以上の精神力はあるでしょうけれども、イチローさんだけが強靭な精神力を持ってるというわけでも、心そのものに違いがあるわけでもなくて、使い方に違いがあるという感じですね。しかも、その使い方の違いは僅かだという、そこに気づいてもらえるとうれしいですね。 でも、この本を読んでいただいて「今後の生活が変わっちゃうような気がする」と言われたのは斉藤さんには非常に高い学習力があると思いますよ。幼い頃の疑問を持ち続けるというのも素晴らしいことです。 斉藤 ああ、そうなのか!と思ったんですね。気づきそうで気づかないこと。きっとここまで生きてきたなかで中で、そういうことってたくさんあるんだろうなと。 鈴木信市 何でこんなふうなことになっちゃったのよと自分に言ったことはありませんか? 斉藤 そういう場面、たくさんありますね。多分、ほとんどの場合、自分の中で解決できずに忘れてしまう。で、また同じことを繰り返す。もう、仕方がないからいいやとせずに、自分と向き合って解決する時間が大事なんだなって感じました。難しく考えると自分の中で重くなってしまうと思うんですけれども、楽しんで考えられるといいなと思いますね。 鈴木信市 心や頭の使い方って小さな違いなんです。例えば今みたいに、どうしてこんなふうになっちゃったのかなと考えることは悪いことではないけど、そこで終わってしまうのはあまりよくない。 「どうなりたいのか」と考えないと次が始まりません。でも、多くの人は、どうしてこんなふうになっちゃったのかなと考えているところで止まっている。すると最終的には出口がない。自分がどうしてうまくいかなかったのかという理由はわかってもどこに行きたいかがわからないから、結局「落っこちないようにしよう」と同じになる。なぜこんなひどいことになっちゃったのかしらという理由はいっぱい持っているので、自分のことは掘り下げてよく知ってるけど、解決策というのか可能性に対しては開かれてないようになってしまうのですね。自己に対する知識は深いけれど、単に「とどまってる人」になってしまう。 「そのかわりに」という発想がつけ加わると、振り返って得た経験をもとにどこに行こうかとなる。すると今度は、自分の今までの経験が力になります。それもちょっとした自分との会話の仕方で、随分生き方の質が変わってしまうんですよね。 まあ、そんなことも含めて読んでもらえたらすごくうれしいんですけどね。 斉藤 確かに、これまではそこまで考えてなかったかもしれない。 鈴木信市 「どうしてそんなひどいことを言うのよ」とだれかに言う。それだけでは、この人とはどういう関係をつくりたいのかなということが、あまり考えられないでしょ? 斉藤 そうですね。 鈴木信市 あんなにいいことをしてあげたのに何でこんなにひどい目に遭わなきゃならないのかしら、みたいなことはある。それはもちろん、先程言ったように悪いことではないし大切なことだけど、その次は、この人とどういう関係をつくるかという観点がないと前に進めないんですよ。 前に進むというのは気持ちの問題を言ってるのではなくて、本当に人間ってどこに行きたいかという目的地がないと、進みようがないんですね。進みようがないとどうなるか。これまでと同じことを繰り返す。そこでまた同じようなところにはまって同じような気持ちになる。大体の場合、あまり生産的ではないところにとどまり続けて終わるみたいなことになるんでしょうね。 斉藤 最近、友達に「同じことの繰り返しだ」みたいなことを言われたばかりです。確かに友達も言っていました。「私は自分でこうありたいというのがあるからそこに向かって頑張る。そうなるまでは頑張り続けるから結婚できた」って言ってる。 鈴木信市 その人はすごい。目的指向型心理学のお手本のような方ですね。 斉藤 「30歳までに結婚すると自分の中で決めてあって、それに向けて失敗をしても何をしても、でも達成する目標があるから前進したい」と。次に向けて頑張っていく、そう生きてきたんです。「あなたはいつも同じことを繰り返してる。こうありたい、こうなりたいという確固たるものを自分の中で見据えないとだめだ。同じことの繰り返しで何も進まないから」って、ちょうど最近言われたんです。それをふと思い出しました。 鈴木 その方は何か、人生のスポーツ選手みたいな感じですね。 斉藤 確かにそうですね。ああ、随分意志の強い子だなというぐらいにしか思ってなかったんですけど、違うんだって今わかりました。 鈴木信市 基本的になりたい自分があって、そこに行くことは嫌なことではないわけですからね。 斉藤 失敗しても、でも私はこうありたいっていうはっきりしたものをその人はもっていて、実際に成し遂げたというのを目の前で見てるので。で、そこにたどり着いたら、また次はこうしていきたいという先があるんですよ。そういうことなんだなってわかりました。やっと実感したというか。 鈴木信市 それは彼女の世界地図が頭の中にあるんです。そういう世界に生きてるんですね、その方は。 アントレプレナーなんかになる方というのは、やはり目的意識が結構強いんですね。何年後にそうなりたいというのがある。いろいろな困難が起きないわけではありません。多くの人は困難を超えていくとき、その困難を見ているんですよ。困難を見てると苦しい。 でも、彼らは、「困難を超えたらここに行く」と思ってるから、困難を超えること自体が随分、気持ちが違うんですよ。ですから頑張ってるわけではないけれども乗り越えてしまう。スポーツ選手だと苦しい練習を乗り越えなければならない。確かに練習は苦しいんだけど、皆、ステップを上ってトップになるんだというところの喜びがすごく強い。だから、これを一歩超えたらあそこに近づいた、という感覚になるんですよ。彼らは先のことを見るという意識ががすごく強いから、そこから力をもらって進むという能力が高いんですね。このように、どこに自分の意識を向けてるかという違いが大きいのですが、その方はまさにそうですね。でも、いい友達がいらっしゃいますね。 斉藤 そうですね。すごく幸せだと思います。いろいろアドバイスをもらったりして。大体その人のアドバイスというのは結果的に当たってることが多い。その理由がわかった気がしました。 結構繊細なところもある彼女ですけど、そういう芯がしっかりしてる。何かいい影響を与えてもらってるんだなと思います。 鈴木信市 それも今や、彼女がどういうふうに考えてるかが斉藤さんには結構わかってますから、ねえ。 斉藤 今までは違う人間なんだなというふうに思ってたんですけど、根本的には一緒で、幸せになりたい。それを具体的に、じゃ、どうしていこうというところの道を自分でつくっているか、つくることを意識してるかしてないかという差で生き方も変わってくるんだなという。 鈴木信市 でしょうね。ちゃんと目印があるからそこに行けるんでしょうね。 斉藤 逆にないと不安なんじゃないですかね、きっと。 鈴木信市 ほとんどの人は、その女性みたいにはちゃんと行き先が決まってはいませんよ。沖合いに浮かんでるヨットみたいで、今日の風によってあっち行ったりこっち行ったりしながら、まあ、おおまかどっちに向いてるな、ぐらいの感じで生きてる人が多い。どちらがいい悪いではないのです。ただ何かを成し遂げる人というのはその女性みたいなメンタリティーの人ですよね。 その方にぜひ読んでいただきたいですね。 斉藤 もちろん、です。この本のお陰で、彼女に対する理解も深まりましたし、私に足りない部分もわかりましたので、これまで以上に良い関係が築けると思います。彼女だけでなく、この本は多くの人に読んでもらいたいと思います。この本に書いてあるのは難しいことではないけれど、本当に役に立つことばかり。私のように生き方が変わる、という瞬間を味わってもらいたいですね。「ああ、そうだったのか!」ということが、皆さんあると思います。 鈴木 そうだとうれしいですね。私たちはそのために活動しているんですから。今日はありがとうございました。 |
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