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a day in the life 庵里直見 フォーナイン 99.99tt |
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人間とは優劣をつけたがる生き物
Day 14「意識のサイズの違いと行動」で「良い悪いではなく、違い」であると書きました。それに対して「性差ではないか」というコメントを頂きました。 そういう考え方があるのは理解できます。しかし、ここで大事なのはいろいろな考え方があるということだと思うのです。 男性・女性の違いは動物的な部分もありますが、それは教育によって作られた違いも多いものです。また、地域によっても女性像、男性像は違いますし、時代によっても違うでしょう。一昔前は男性が髪を伸ばすなんて考えられませんでしたし、女性のパンツ・ルックなども常識外れだったのですから。 私が「違い」であると書いたのはこういう考え方もあるという、考え方のバリエーションを御呈示しているのであって、これが絶対に正しいなどと考えているのではありません。心理学とは統計学の一面が存在しますので、一般的な数学のように絶対はないのです。受け入れられないことも多々あります。
心理学に対する私の基本的なスタンスは、良いと思われる部分を取り入れていけばよいというもの。自分の心のモヤモヤが解決されるなら、それでいいのです。 その学説のすべてが正しいかどうかなんてことは気にせず、自分には合っていると思われる部分を必要に応じて使い分ければいい。そう考えています。学問は人のためにあるのですから。良い所ばかりを集めたより生きていきやすい自分だけの心理学を作り上げればいい。 それがライフ・スキル、ソーシャル・アビリティなのです。
自分を責める必要などありませんし、自分をダメな人間だと思いながら生きることなど、決して良いものではありません。
人は物事に優劣をつけたがります。白黒をはっきりさせたがる。曖昧なままにされるのは嫌なのです。もちろん仕事なら優劣をつける必要はありますし、結果を出さなければ仕事にはなりません。しかし、すべてのことに優劣をつける必要があるのでしょうか。ほとんどのことは優劣などつけられないのではないでしょうか。どの花が一番好きかと問われても、なかなか一つには決められないのが本当の気持ち。ましてや自分の人生に優劣をつける必要などないと思うのです。
欠点だと思っている所があっても「自分はなぜこうなのか」という理由を理解できれば、気持ちが楽になります。 「原因不明、病名不明」と言われていた人が病名が明らかになって「ホッとした」とおっしゃっているのを聞いたことがあります。「これで、治療が出来る。病気と立ち向かえる」というのです。 それと同じでしょう。ありのままの自分を受けれればいいのです。そしてどうするのかを選択すればいいこと。 それに自分を受け入れられなければ、他人を受け入れることなどもっと難しい。 それは人生を良い方向には導いてくれません。 すべてを受け入れて、そして、変わりたければ変わればいい。 それが「学ぶ」ということです。
しかし、自分を受けれるためには一つの説に頼るだけでは難しいこともあるでしょう。 自分を説明するのに「あなたはA型だからこうこうこういう性格です」といわれても、「そうとは言い切れないなあ」と思うこともたくさんあるはずです。 それは当然なんです。だって、血液型性格分析は医学的には何の根拠もないとされているのですから。もちろん信じたければ信じればいい。気持ちが楽になるのならそれでいいのです。 同様に、信じたくなければ信じなければいい。でも、そのためには自分が納得できる別の根拠が必要になってきます。
そして、そういう場合の選択肢はたくさんあったほうがいい。その選択肢の一つとして、目的指向型心理学の説を御呈示したのです。
あるドクターのところに「潔癖症で一日に何百回も手を洗わずにはいられない」という患者さんが来ました。ドクターはこう言いました。「それで、手を洗うという症状が治ったら、たくさん時間ができますね。その時間で何かしたいことはあるのですか?」と質問をしたのです。時間がなくて困っているのなら、実害があるのなら治せばいいけれども、やりたいことがないのなら、そのままでも構わないだろうということです。 そう問われた患者さんは目を輝かせてこう答えたそうです。 「時間ができたらジャズダンスをやってみたい! 旅行にも行ってみたい!」
この瞬間、患者さんの頭の中には症状が治って、颯爽とジャズダンスをしている自分の姿が浮かんだ。あちこち旅行に行って楽しんでいる自分の姿が浮かんだのです。治った自分をイメージすることが治ろうという前向きな気持ちに繋がるというのが目的指向型心理学の考え方。実際、その患者さんはどこの病院へ行っても治らなかったが、その治療で治ったのです。
難病の手術を行っているドクターがこうおっしゃっていました。「患者さんが高齢だからという理由で手術を行うかどうかの判断はしない。治ろうという気持ちのある人なら手術を行う」
つまり、どんなことであっても最後は自分がどう考えるかが結果を左右するということ。 自分で自分のことをダメだと思ったら、自分はダメになるしかないのです。
従来の心理学は原因究明型心理学と言われ、その症状の原因を究明する所から治療が始まります。それは非常に辛い作業を伴うことも少なくありません。それに対して、目的指向型心理学は目標に向かって進もうとする力を利用して治してこうというものです。全く違うアプローチをするのですね。
もちろんこれもどちらが良いということではありません。自分に合った解決法を選べばいい。 私はその選択肢の一つを御呈示したということなのです。
自分の生き方を決めるのは自分でしかありません。 そして、私たちは考え方の豊富なバリエーションが、人生をスムーズに進めることに繋がり、人生を豊かにしてくれると考えています。 それはレストランのメニューにたくさんの料理が並ぶのと同じです。その方が自分の食べたい料理を選べる確率が上がるでしょう。
「自分はどう生きたいのか」を決める際に参考となる知識、選択肢は多いほうがいいとは思えませんか? |
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