![]() |
||||||
![]() |
||||||
![]() |
||||||
a day in the life 庵里直見 フォーナイン 99.99tt |
||||||
![]() |
||||||
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
ビジョンの重要性
私が教える学生からメールをいただきました。 「就職活動を目前に控えながら、ビジョンが具体的になっていない。お話をお聞きしたいのですが・・・」 私の返答はこうです。 「あなたは素晴らしい。ビジョンの大切さに気づいているのですから」
私がビジョンの大切さに気づいたのは、つい最近のことです。にもかかわらず、その学生は既に気づいている。私は羨ましいような気がしています。その若さでビジョンの大切さを認識し、それに向かって進むならば、きっと充実した人生を歩めるに違いないからです。
ビジョン。 それは、暗やみに輝く北極星のようなものといえるでしょうか。 その学生は北極星が見えないから、不安で仕方がない。当然のことです。誰しも自分の進むべき道が見えなければ一歩を踏み出すことはできません。 山小屋から明かり一つない外に出たとき、私は本当に自分の足元が見えないという経験をしたことがあります。目を開いているのかどうか、それすらも分かりませんでした。私は慌てていました。そして一歩を踏み出すことができなかった。
現代社会には、こうした状況があちらこちらにあるような気がしています。
閉塞状況、つまり暗やみの部屋に閉じこめられたような感覚を多くの人が抱いているのではないか。懸命に働いても生活は良くならない。それどころか、ガソリン価格の上昇によって物価はどんどん上昇し、苦しくなる一方。年金も医療も教育も、問題山積で一筋の明かりすら見えない。 だぶついたオイル・マネーや機関投資家は行き先を求めて石油に投資し、また、バイオ燃料の原料である穀物にも投資する。結果としてガソリン価格は高騰し、穀物類も値上げラッシュとなり、最低限の食料すら口にすることができない人たちを生み出している。 マネー・ゲームがすべてに優先しているのが21世紀。 家族のために懸命に働き、自分の夢を実現するために努力する。一歩一歩前進していく。人生を充実したものにするには、それしかないはずなのに、ほんの一握りの人間がネット上でやり取りするマネーによって、私たちの人生が大きく左右されている。 私のような素人の目には、そう映ります。 「グローバリゼーション」という大きな輝きを放つ太陽を追い求めた結果、私たちはどんどん追い込まれている。世界中が24時間ネットワークで繋がり常に経済活動が可能となった今、人々は一日中輝き続ける太陽の光によって、北極星を見ることができなくなってしまったかのようです。 日本では、毎年約3万人が自殺に追い込まれ、小学生の間に鬱が広まっているそうです。 私たち「99.99」は、この状況を「おかしい」と感じています。こんなことが許される社会は正常ではない。まるで江戸時代の米騒動のようです。米商人達が米を買い占め、価格をつり上げ、私腹を肥やす。 歴史は繰り返すといいますが、私たちはここまで愚かなのでしょうか。トインビーが皮肉を込めてこう言っています。「人類は歴史に学ばない動物である」 残念なことに私たち「99.99」には、ガソリン価格を下げる力もありませんし、穀物の価格を元に戻すこともできません。 でも、人々の心に小さな変化のきっかけを作ることはできるかもしれない。そう考えて活動を始めました。 グローバリゼーションという燃え盛る太陽の輝きの彼方に隠されてしまった北極星を見つける小さな手がかりとなれないだろうか。 その活動の第一歩が「イチロー選手の言葉に学ぶセルフ・コーチング」です。 私の周囲にはイチロー選手のことを「あのぶっきらぼうな話し方はなんだ」「生意気だ」と感じている人がいます。 しかし、私はイチロー選手のことをとても繊細で優しい人だと思っているのです。 確かに彼の言葉の表現にはそういう部分があることは理解できます。しかし、それは彼が自分を守っているからなのです。彼は周囲からの雑音をできるだけ排除しようとしている。そのために一番効果的なのは、周囲の意見などに興味はないという強い姿勢を示すことです。それを知っているから、彼はあのような態度を取り、言葉を使っている。 ある時、イチロー選手は三振をして悔しさのあまりバットを叩きつけました。道具を大事にする彼としては珍しいことです。その後、こういう手紙をバットを作ってくれる技術者の方に送りました。 「大変申し訳ないことをしました。もう二度とこんなことは致しません」 技術者の方がこうおっしゃっていました。 「そんなこと言ってくれた人はいない」
イチロー選手は大変頭がいい。非常に多くのことを考えてきている。それは驚くほど細かいことにまで及んでいます。これはこの本を書いての実感です。 なぜでしょうか。 それは彼が非常に繊細で、誰よりも優しいからです。 強い精神力と何にも負けない強い心を持っている人は、こんなに細かいことは考えない。なぜなら考える必要がないのです。 私たちには常に外界からあらゆる刺激を受けています。しかし、私たちはすべてを感じているわけではない。空気の存在なんて感じもしない。私など蚊に刺されたって感じない。痒くなって初めて蚊に刺されたことを知るくらいです。蚊に止まられたくらいの僅かなことにいちいち反応していては、せわしくて仕方がない。ゆっくりとお茶を楽しむこともできない。だから、我々の感覚は、些細なことには反応しないようにできている。そういうように「脳のクセ」がつけられているのです。 このことからも分かるように、彼が驚くほど多くのことをあれほどまでに繊細に考えることができるのは、彼が驚くほど優しくて繊細だからなのです。 彼の態度や言葉遣いは、その優しくて繊細な弱い自分を守るための、自分らしさを保つためのガードなのです。 この本では、彼の言葉を目的指向型心理学を用いて解説しています。そしてその背景にある彼の体験に触れています。また、彼の言葉を理解する一助となるように彼の体験と似たような私の知人の体験を例として取り上げています。それは彼の心の微妙な動きをあなた自身の体験として知ってもらいたいからです。そして、あなたがこれらの例を読んで「その通りだな」「そうそう、そうなのよねえ」と感じられることがあるなら、それは、あなたもイチロー選手と同じように生きてきたからなのです。つまり、あなたもイチロー選手と同じように優しく、繊細な心の持ち主であることの証にほかなりません。 あなたの心は驚くほど優しく、そして繊細なのです。 優しくて繊細な人だからこそ、あなたが身に付けなければならないのは、繊細で優しいあなた自身を守るための方法です。あなたが社会に適応するためにどこかで無理をし、ストレスフルな社会で生きていくうちに少しずつ失ってきた自分らしさを取り戻すための心の使い方なのです。 それはイチロー選手が教えてくれています。 イチロー選手とあなたのパイプ役が、この本といえるのかもしれません。 彼の心の守り方は、優しく繊細な心に鉄板を打ち付けたり、増強剤を入れたりして、心を改造しているのではありません。 いわば、見えないシールドを張り巡らせている。心の優しさや繊細さは子どもの頃そのままにして、スイッチ・オンで、周囲になにものにも負けないシールドを作っているのです。 このシールドの特性は外敵には強いが、思いやりや優しさは何事もないかのように通すところです。だからイチロー選手はバットを作ってくれた技術者に感謝をし、道具を大事にしなさいと子供たちに語りかけ、被災地や慈善事業に多くの寄付をしているのです。 無理をして、あなたを改造することなんて必要ありません。「自分らしさ」を取り戻すことこそが重要なのです。 私たち「99.99」はあなたが「自分らしさ」を取り戻し、社会でその「自分らしさ」を発揮して、あなたにしかできない世界を描き出してくださることを願っています。 この本を読んで、「ああ、少し自分らしくなれたかな・・・」と感じていただける瞬間があることを夢見て活動しています。
そして、それこそがこの社会を正しい方向へ進めることに繋がるのではないかと、私たちは考えているのです。
この本が、あなたが「自分らしさ」を取り戻すきっかけとなれれば、これほど嬉しいことはありません。 I |
||
![]() |
![]() |
![]() |