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フォーナインの本 庵里直見 フォーナイン 99.99tt |
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結果を出す16の秘訣 使える!イチローのメンタルマネジメント 序章 考え方のバリエーションが人生を左右する
イチロー選手と聞いて、皆さんはどんな言葉を思い浮かべるでしょうか? 天才、メジャーリーガー、スーパースター、200本安打、年間最多安打、レーザービーム……。 しかし、彼は自分のことを天才ではないといっています。メジャーリーグへの挑戦は大した決断ではない、とも。 では、天才ではない彼が、どうしてこれほどまでに素晴らしい成績を残すことができるのでしょう。 その秘密は彼の豊富な思考方法にあるのです。 一つ、例を挙げましょう。 2009年のWBCで不振にあえいだ彼。あそこまで苦しむ姿を見せたことはありませんでした。しかし、延長10回、日本中が見つめる中で見事に決勝のヒットを放ち、私たちを熱狂の渦に巻き込んでくれましたイチロー選手。さすがと言う以外、当てはまる表現がありません。 そんなイチロー選手ですが、苦悩の後遺症として胃潰瘍になり、シーズンの開幕8試合を欠場することとなりました。8年連続200本安打を記録している彼は2009年、メジャーリーグ新記録の9年連続200本安打に挑戦しようとしていたわけですから、誰もが記録達成に不安を感じていたのです。 しかし、周囲の不安をよそに彼はこう言いきりました。 「僕は130試合で200安打を達成している。162マイナス8ではなく、130プラス24と考えたい」 つまり、日本で130試合で210安打を達成した経験が生きるというのです。何という目標設定の上手さ、呆気にとられるような素晴らしい思考だとお思いになりませんか。 この思考のバリエーションこそが、彼の強さの秘密なのです。 彼は、その思考の豊富さにおいて、正に天才と言えます。 * * * もう一つ、彼の素晴らしさを挙げましょう。 それは同じことを続ける強さです。 彼が道具をとても大切にすることは有名です。今でも試合後のロッカーで一人、自分のグローブを丁寧に磨いているのです。 皆さんも覚えがあることでしょう。初めて買ってもらったグローブにオイルを塗って丁寧に磨いたことを。女の子なら可愛いお人形を買ってもらって、大事にしていたことがあるでしょう。しかし、だんだん大事にしなくなって、放って置くようになってしまうもの。 そして、分かったような顔をして、こう言うのです。 「もう、僕は子どもじゃないんだから」 「私は、もうお姉さんなんだから」 「新しいのを買えばいいんだから」 やがて、時を経て、物置の奥から出てきた思い出の品を見た時、こう感じます。 「昔は大事にしていたのに……」 少し心が痛むものです。 イチロー選手は子どもの頃の気持ちを持ち続けている。今でも道具を大事にし、毎日手入れをしている。 同じ気持ちを持ち続けることができる強さが彼の、もう一つの秘密なのです。何もあなたも道具を大事にしなさい。そうすれば成功します、というのではありません。これは、あなたが夢を持ち続ける強さに繋がるのです。 ■生き方に気づかせてくれるイチロー選手の言葉 私はスポーツが大好きでした。小学校では野球をし、中学ではバスケットボールの選手になることを夢見ていました。でも、大人ぶって諦めたのです。 「そんな子どもみたいなこと……」 しかしいま、田臥選手がNBAに挑戦する姿を見て思います。 「諦めてよかったんだろうか」 諦めなければNBAの選手になれたかもしれないというのではありません。挑戦もせずに諦めたことが、それでよかったのだろうか、という思いに駆られるのです。イチロー選手もこう言っています。 「挑戦するのか、やらないのか。それは全く違います」 ある日、イチロー選手がシアトルの小学校をチームメイトとともに訪れた時のことです。すでに彼は子どもたちのヒーローとなっていて、大歓声で迎えられていました。 彼は子どもたちにこう語りかけたのです。
「私はメジャーリーグでは小さい方です。でも一生懸命練習すれば選手になれるのです。だから、体が小さいからといって諦めるようなことはしないでください」 私はその言葉を聞いて、はっとしました。私には思い込みがあったのです。 「僕は小さいから……」「僕は能力がないから……」 彼は私の思い込みを拭い去ってくれました。間違いに気づかせてくれたのです。 これまで私は自分で自分を制限していました。それもあらゆる面で。小学校のころから今まで、ずっと私はそうしてきたのです。 そして今の今まで、私は信じていました。 「私には本を書くことなんてできない」 しかし、こんな本ができたらいいなあと仲間と語り合った時、私は決めたのです。 「絶対にできると信じよう。今度こそ自分を信じてみよう」 仲間達の思いも同じです。 この本は、私が自分の思い込みを変えていく、その軌跡でもあります。自分で自分を制限することをやめた結果なのです。 私にできたのだから、あなたにもできます。 「それは、あなただからできたので、私にはできない。そーんなこと言ったって、無理! 無理!」 今、そう思ったあなた、それは一年前の私の姿そのまま。私もこれまで、こういう文章に出合うとあなたと全く同じ反応をしていたものです。 それにきっと、私はあなたよりも疑り深くて、あなたよりも頑固者。 そこには少々、自信あり、です。 ところで、この本では目的指向型心理学を基本に、そこに私たちフォーナイン(99・99)の考え方をプラスして、イチロー選手の言葉がもつ意味を解説しています。 目的指向型心理学? 難しそう? いえ、目的指向型心理学は特別なことではありません。生活の中で皆さんが自分を元気にするために何となく工夫してきたこと、コミュニケーションをスムーズにするためにやってきたことが含まれています。それを学問として体系的にまとめたのが目的指向型心理学だともいえます。 例えば、私の知人は趣味でマラソンを走っていますが、元気を出すためにクイーンというロック・グループの「ウイ・アー・ザ・チャンピオン」を聴くそうです。この曲を聴くと苦しくなってきたときでも頑張れるというのです。こういったことを目的指向型心理学では「アンカリング」と呼んでいます。知人は自分の中で、その方法を見つけていたということ。朝起きた時、何となく元気が足りないと思った日は、明るい色の服を着るという友人もいます。これも「アンカリング」。 みなさんも似たようなことをされているのではありませんか。きっと、一つや二つはされているはずです。 もちろん、目的指向型心理学には皆さんがやったことのない考え方・方法もたくさんあります。 従来の心理学は原因究明型と呼ばれ、例えば、物事がうまく運ばなかった時に、その原因を追及し、そこを徹底的に見つめることによって修正しようという考え方です。その過程において自分の欠点を嫌というほど認識しなければなりません。そして遂行する間にも、常に自分の欠点を意識しなければいけない。「ああ、こういう時に自分は失敗をする傾向があるんだ」「ここが自分の弱点なんだ」と。 対する目的指向型心理学では、まず、自分が望む結果を強くイメージします。そして、自分の長所をどう伸ばすかに集中する。言わばその相乗効果によって物事を成し遂げようとするのです。自分の内に備わった長所を意識し、得意とする部分、自分の優れた能力をさらに伸ばすことによって全体のレベルアップを図り、手に入れたい結果を、まさに手に入れるのです。両者の違いはこのように表現できるでしょう。 ロサンゼルス・オリンピックの前のことです。日本のジュニア体操の練習を見る機会がありました。そこではコーチの厳しい声が飛びます。「全然ダメ! そんなことでは得点がもらえないぞ! 膝が開いているだろう!」。言われた子供は口を堅く結び、首をうなだれています。一方のアメリカは開催国として金メダル獲得に向けて着々と実力をつけていました。そして、ジュニアの練習では、一人が演技をするたびにコーチが「素晴らしいわ! 10点満点!」と叫び、一人ひとりに金メダルを掛けます。そしてみんなが拍手をするのです。指導を受けている子供たちの表情は日本とは全く違い、本当に嬉しそうな笑顔で、実に楽しそうに体操をしています。 どちらが良いのでしょうか。 それはケース・バイ・ケースなのかもしれません。一人ひとりの個性に合わせたコーチングというものがあるはずです。厳しい指導で伸びる人、優しく教えてもらって成長する選手、厳しいときと優しいときの両方が必要な人もいるでしょう。 私はどうでしょう。普段はやはり優しく教えてもらいたい。そして、思い上がっているようなときには、ビシッと言ってもらう。そういうコーチングが私には合っていると思います。厳しい言葉ばかりではめげてしまうのです。 学生時代のゼミで習ったのですが、室町時代に夢幻能を大成した世阿弥による能の理論書『風姿花伝』にはこのようなことが書いてあります。 「子供のうちは大人が稽古する傍らで遊ばせておきなさい。自分でやろうと思うまでは稽古などしても身にはつかない」 私のイメージでは、昔の人は厳しく育てられたものだとばかり思っていましたが、どうやらそうではないらしい。山本五十六の言葉にもこんなものがあるそうです。 「やって見せ、言って聞かせて、させてみて、褒めてやらねば人は動かじ」 室町時代の人も、戦前の人も、今の若者とかわらないようです。 私も、そのように指導してもらいたい。私には目的指向型のほうが性に合っているように思えます。 皆さんはどうでしょう。 「厳しいばかりじゃなあ……」と感じる方は、この本の考え方が大いに参考になるに違いありません。 ■目的をもつことが前進する力になる 目的指向型心理学について、こんなエピソードも聞いたことがあります。 ある博士のところに女性が相談に来ました。 「先生、私は潔癖症で、一日に何度も部屋を掃除せずにはいられないのです」 相談を受けた博士はこう答えました。 「なるほど。何度も掃除するには相当な時間を費やすのでしょうね」「それで、その症状が治ったら、空いた時間で何をしたいのかね?」「したいことがないのなら、治さなくてもいいんじゃないかい?」 私はそのとき「なんてひどい人だろう」と思いました。悩んでいる人にそんなことを質問するなんて、と感じたのです。でも、その後を聞いて驚きました。そう聞かれた女性は、目を輝かせてこう答えたというのです。 「時間ができたらおいしいケーキやパイを作って子供たちに食べさせたい。子供たちともっと一緒に遊びたい!」 こう答えたとき、その女性の頭の中には掃除せずにはいられないという症状が治って、お菓子を作って子供たちと遊んで楽しんでいる自分の姿が浮かんだのだそうです。そして子供たちの笑顔も。治った自分をイメージすることが、治ろうとする大きな力になるというのです。そう説明されて、私は心から納得しました。 「確かにそうだ!」 この女性は、きっと他にも相談に行ったことでしょう。そしてどこでもこう聞かれたはずです。 「その症状はいつごろから始まったのですか?」 「その頃、何か辛いことはありませんでしたか?」 「その○○が原因でしょうね」 「それを乗り越えるために、自分と向き合いましょう」 それは大変辛い作業です。過去の痛みをもう一度体験しなければならないのですから。 「治ったら何がしたい?」とは全く違うアプローチですね。この違いが目的指向型心理学の特徴なのです。目的をもつことによって、自分を前進させる。これは素晴らしい考え方だと思います。 私が目的指向型心理学を知ったのはコーチングということが騒がれ始めたころでした。 「オリンピックで日本人が勝てない。それは、メンタルトレーニングをしていないからだ」などといわれていたのです。 「へーえ」と思いながら、本を何冊か読んだのですが、私の目には人を誘導しよう、意のままに操ろう、そうしたイメージが強いように映りました。しかし、興味深い部分もあったのです。 それは論理性です。現代の日本人は論理的に考える訓練が徹底的になされており、怪しげなものには鋭い嗅覚が利く。私も、その内の一人です。この本を書くにあたって、監修に協力を頂いた鈴木信市氏は、私の目に映った怪しげな部分を言語学や脳生理学、統計を用いて学問的に説明してくれました。それは論理的で、納得できるものが多かった。書店に並ぶ他の本とは異質で、あるいは正反対のこともありました。このとき、私は目的指向型心理学に興味をもったのです。 「これが本来の目的指向型心理学の姿なんだろうか。もしそうなら、これ、なかなかいいよ」 そして、イチロー選手の言葉に触れるたび、彼の考えていることはどうもフォーナインにピッタリだと思えることが多くなってきたのです。 インターネットで調べてみると、彼もどうやら心理学を勉強しているらしい。 そこで改めてイチロー選手の言葉にフォーナインの論理を当てはめてみると、それまで「イチロー選手はなんだか、面白いことを考えているなあ」程度だったのが、実によく分かる。 「そういうことだったのか!」 これが、この本を作ることになったきっかけです。 イチロー選手の考え方のバリエーションを知れば、人生が少し楽になるに違いない。少し自分らしく生きられるようになるはずだ。きっと、自分の夢、目標の達成に役立つ! ■イチロー選手の言葉を理解するのは、人生を変えるチャンスを手にすること イチロー選手の言葉からは彼が本当に目標設定能力が高く、また問題解決能力にも非常に優れていることが分かります。そしてその考え方は、多くの人が気づかずにいることなのです。 故に彼は誤解されることもある。 だから私はイチロー選手の真意を知れば、彼の言葉に含まれる貴重なメッセージだけでなく、イチロー選手の素晴らしさをも理解してもらうことができると考えました。それはプレーだけではなく、彼の人間性の素晴らしさ、奥深い思考の素晴らしさです。 それに加えてもっと大事なことがあります。 イチロー選手を理解することは、同時に、イチロー選手の生き方を理解することであり、それは多くの人の人生を積極的に、そして人生に横たわる問題を解決してくれる可能性がある。 分かりやすい表現をするなら、これまでよりも自分らしく生きることができ、同時にイチロー選手のように夢に向かって進む力を与えてくれる。 そのことを知ってもらいたい。 彼の思考方法を知らずに人生を生きることは、あなたが自分の中に備えた「才能」という財産、気づかないうちに手にしている大きな「チャンス」を逃すのと同じなのです。 この本には、これまでの自分の思い込みを変えるチャンスがいっぱい詰め込まれています。そのチャンスを逃がさず、一つだけでもいいから掴み取ってくださるように祈ります。 一つだけでいいのです。 何も、一瞬で全てがガラリと変わるなんてことを言うつもりはありません。そんなことは無理です。私もそう思います。 でも、少し変わることはできます。ほんの少しなら……。 ベストセラーになった『バカの壁』(新潮新書)で知られる解剖学者の養老孟司氏が「知る」ということについてこのように語っていたのをご存知の方も多いことでしょう。 「知る」ということは、あなたが変わるということです。知る前のあなたと知ったあとのあなたは違うのです。 この言葉を聞いて私は、「本当にそうだ。その差は極く僅かかも知れないけれど、それは想像以上に大きいんだな」と感じました。 皆さんもそう思われたのではないでしょうか。 フォーナインが考えているのは、正にそのことなのです。 「イチロー選手の考え方」を知ることはイチロー選手を理解することであるけれども、それは同時にあなたが変わる瞬間なのです。「イチロー選手の考え方」があなたの心の中のどこかに残って、何かの時にあなたにそれを思い出してもらえればいい。そしてあなたの人生に応用してもらいたい。それは「知る」か「知らないか」の違いを遙かに超えたあなたの変化であると、私たちフォーナインは考えています。 私たちは声高に「あなたは変わる」「人生の成功を手に入れる」「これで金持ちになれる」などというつもりはありません。しかし、素晴らしい生き方をしている人の考え方を知ること、それは知らないことに比べればまるで違うのだ。と、こう申し上げたいのです。 あなたが子どもの頃、偉人達の伝記を読んで「凄いなあ」「立派だなあ」と感じたことがあるでしょう。私たちフォーナインはその偉人たちの残した結果だけではなく行動の奥にある考え方を知ってもらうことによって、単なる感動だけではなく偉人達の手法をも自分の中に刻んでもらいたい。そう考えているのです。 それはいつの日か、今日かも知れないし、明日かも、一週間後かも、十年後かも知れません。あなたの中で蘇り、あなたに小さくて大きな変化をもたらす。 私たちはその瞬間を思い描きながら、活動しています。 この本を読み終えた方が数カ月後に「ほんの少し変わった」と思っていただける瞬間があれば、それは私と同じ経験をされている証です。「ほんの少し」を少しずつ重ねていけば、あなたも夢を叶えることができます。 私にできたように……。 ここで、アメリカでスポーツのコーチが少年たちに言う言葉を皆さんにお贈りします。 「あのマイケル・ジョーダンだって、高校時代はレギュラーじゃなかったんだよ」 神と呼ばれた彼ですら、努力が必要だったのです。 そしてイチロー選手はこう言っています。 「小さなことを多く重ねることが、とんでもないところに行くただ一つの道なんだ」*4 ほんの小さな変化、半歩にも満たない前進が、あなたを変えていってくれます。そして、この本を手にされた今こそが、あなたが変わる最初の瞬間なのです。 さあ、自分を信じて、少しずつゆっくり、力強く歩み始めてください。 私たちフォーナインは、皆さんをいつもサポートし続けます。 ここで、フォーナインという名称についてご説明します。フォーナインを数字で書けば99・99。これは99・99%ということです。 純金の純度は100%ではなく、99・99%だということをご存知ですか? つまり100%、完全を求めるのは非常に難しく、0・01%を上げるために使う労力を考えると無意味でもあり、不可能ともいえるのです。 そして、純金の例からも分かるように99・99は100という意味を持つこともある。 フォーナインは人々は99・99%正しいと考えています。頑張っているし、一生懸命に努力もしている。我慢も重ねている。もちろん、正しい選択をしている。でも、何だか違うと感じることがある。それは胸の辺りに広がる0・01%未満のモヤモヤとした思い。それがいつの間にか大きくなって……。その皆さんの0・01%未満のモヤモヤをフォーナインの法則で解消してもらいたい。そうすれば皆さんの99・99%の正しさが、100を意味するようになる。 0・01%未満のモヤモヤ解消のお役に立ちたい。 自分らしく輝いて生きてもらいたい。 それがフォーナインの願いなのです。 |
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